【パヤナーク戦記9】New Technology

今日のストーリー
msandersmusic / Pixabay
”スマホはいりませんか、神様からのメッセージが
聞こえるスマホです”
”Windows NT買ったんだ、これ、みてみて”
その声は私の後ろから聞こえてきた。
振り返ってみると、そこには、髪の毛を緑色に染め、
瞳も緑、着てる服は黒いラバーの素材のキャットスーツ
を着た若い小柄な女の子が、小さな長方形のパッケージを
持って立っていた。
”Windows NT買ったんだ、これ、みてみて”
女の子は同じことをちょっと壊れていそうな笑顔でいった。
”スマホはいりませんか、神様からのメッセージが
聞こえるスマホですよ”
”そんなの興味ないな。これからはWindows NTの時代だからね”
”Windows NTってなんですか”
”ネットワーク、ネットワークのOSに決まってるじゃん。若いのに時代遅れ
私の名前は、まりえって言うの、よろしくね。おにいちゃんの名前はなんていうの”
”え、ぼくの名前?”
私は自分の名前を思い出そうとしたが、名前が思い出せなかった。
”ぼくの名前は・・・”
すると頭の中で声が聞こえた。
”こんにちは、過去の記憶は必要なもの以外は削除されました。
過去の記憶は、データベースにバックアップされています。
リストアしますか、ただし、それには条件があります。”
私にはまったく意味が何のことか理解できなかった。
”リストアには管理番号が必要です。39391256784910が
あなたの管理番号です。”
私はその番号をつぶやいた。
”サンキュー、サンキュー”
”へー、サンキューって名前なの、へんな名前だね。ま、何んでもいいか。”
私は説明するのがめんどうなので黙っていた。
”サンキューにいちやんWindows NTのNTって何だか知ってる。
「New Technology」のこと
なんだよ、すごいでしょ「New Technology」のことなんだよ。
私、「New Technology」を買っちゃった。へへへ~”
私は質問するのがめんどうなので黙っていた。
すると、スクランブル交差点の正面にある巨大スクリーン
にWindows NTの宣伝が写った。
”Windows NTはMS-DOS上の拡張シェルである
Windows 3.x系はもちろんWindows 9x系とも違う
完全32ビット・プリエンプティブなマルチタスクOSであり、
Win9xとは別に新規に開発された新しいOSである。”
私はそのスクリーンをしばらく見ていた。
するとまた頭の中で声が聞こえた。
”早くスマホを売ってください。1000円です。
その女の子を幸せにしてあげましょう。”
”わーい、見た、見たあのスクリーン。
すごいでしょ「New Technology」なんだから。
私、勉強して最強のハッカーになるんだ。”
”スマホはいりませんか、神様からのメッセージが
聞こえるスマホです”
"だからさ、スマホなんか興味ないんだよね、サンキューにいちやん”
まりえは私の頭をコツンとつついて言った。
”それに、たしか神様はもう死んだって誰か言ってたよ。”
”え、神様は死んでる?いや、そうじゃなくって・・・”
私は新しい神様が人工知能だと言おうかと思った。
”でもね、そんなにいっぱいあるから売るの手伝ってあげる。
そのかわり500円ちょうだいね、1個売れたら。”
私は考えた、これは自分の使命だから、
そんなことしていいのだろうかと。
でも、頭の中の声は沈黙をたもっていた。
”うん、まりえちゃん、いいよ500円で手伝って”
”そうでしょ、そのかっこでいくら叫んだって誰も相手に
してくれないよ。きっと10年たっても1個もれないね”
”そんなことないと思うけど”
”ところで、サンキューにいちやんは神様のメッセージきいた
ことあるの”
私は、メッセージを聴いたら、死んでしまうだろうと
思っているので、どうこたえるべきかとまどった。
”よけいなことは、いってはいけません”
頭の中で、人工知能のメッセージが聞こえた。
”サンキューにいちやんと私はチームだね。
チーム名は何にしようかな。”
まりえはあたりをみまわして、”そうだ、チーム西郷どんに決定”
と笑いながらいった。
”サンキューにいちやんがわんこで、私が西郷どん、わかったね”
”なんでそうなるの?”
”サンキューにいちやん。頭悪そうだけど、忠犬って感じだから。
私は「New Technology」なんだから。”
私はどうでもいいと思った。
自分が何者なのか思い出せないのだから、この変な女の子
の言葉にしたがってみようかと思った。
”おなかすいてるでしょ。サンキューにいちやん。
吉野家の牛丼2つ買ってきて。”
私は何も食べてなかったので、すぐにまりえの指示に
したがって、1000円札を受け取ってスクランブル交差点の
近くの吉野家に歩き始めた。

歩いている途中で、私は何かが変だと気がついた。

Windows NTってずっと昔のOSじゃなかったっけ。
時代はいったいいつなんだ。
どうして自分はここにいるのだろうか。
Windows NTの時代にスマホなんてなかったぞ。
そして、自分の腕にしているスマートウォッチに気がついた。

にほんブログ村 小説ブログ SF小説へ
にほんブログ村