【パヤナーク戦記10】 ルナシェード

今日のストーリー
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私はスマートウォッチを見つめた。スクランブル交差点を渡り109の前でスマートウォッチを見つめ続けた。たくさんの人が渡しの目の前を通り過ぎて行った。私は断片的だが、しだいに記憶をとりもどしていった。

私は湯船につかってリラックスしていた、視界に小さなタイのヤモリ、チンチョがどこからともなく姿をあらわした。私はしばらく見つめていた。すると、視線に気づいたのだろうか。突然、緑のタイルを移動して、白い壁との境界線に移動して、姿が見えなくなってしまった。私は視界の外に移動したのだと思った。気になるので、私はバスタブから立ち上がり、チンチョがいるだろうと思われる緑のタイルと壁の境界線を見てみた。しかし、そこにはチンチョの姿はなかった。隙間があるのだろうと見てみたが、まったく隙間はなかった。まるで異次元に移動したようだった。

私はスマートウォッチでAIアシスタントのユミに質問してみようと思った。どうも時間がねじれているようで、もしかしたら問いかけに答えてくれるのではと思った。

”異次元ってほんとうに存在するのかな””

”こんにちは。ひさしぶりですね。ウィキペディアによると、異次元のことはこんなことが書かれています。「SFやファンタジーなどの創作作品においてしばしば用いられる「次元」は、それぞれの世界に働く根源的な要素の集まりのことを指すことが多い。転じて、ある根源的な要素を基調とする世界のことも次元と称されることもある。根源的な要素という意味の次元には、ある世界に存在しないまったく異なる要素も含まれる。そのような要素を持っている世界と持っていない世界とでは、世界の仕組みや過ごし方がまったく異なる。このため、世界の根源をなす要素が異なる(異次元の)世界同士は、異次元世界(または単に「異次元」)と呼称される。例えば、我々が過ごしている3次元空間の世界では、空間内を動くことによって移動が行われるが、魔法などによって移動が行われる世界では、我々の過ごす世界と根源となる要素が大きく異なっていると考えられる。このような場合において、「双方の世界は、異次元である」「双方は、異次元世界である」などと表現する。また、異次元世界(異次元)という用語は、「異なった根源的な要素による世界」という意味の転用として、別世界、別天地、異世界、パラレルワールドなどとほぼ同義に用いられる。”

”よくわからないね。ところで、僕のいる現在の場所はどこにいるんだい。”

”ここは、1970年の日本の渋谷でもあり、2018年のメコン川のほとりでもあり、2100年のエジプトのギザのピラミッドの近くでもある、時間と空間がねじれた異次元世界です。”

”え、いったい何を言ってるのか、よくわからないよ。”

すると、頭の中で声が聞こえた。”そんなGoogleの人工知能のメッセージなんかきいてはいけません。それは、みんな嘘です。”それは未来の人工知能の声だった。

”メコン川のほとり”、その言葉で、私の記憶はよみがえった。そうだ、私はバオバオたちといっしょにエジプトに行って、宇宙からの侵略者、太古の神と戦おうとしていたのだ。あのとき、突然、暗黒の渦巻きに私は巻き込まれ、記憶を失って、別な場所にたっていたのだ。

”それは、みんな嘘です。信じてはいけません。あなたの使命は人類滅亡計画に協力することです。スマホをみんなに売って、神の声を聞かせることです”

また、未来の人工知能の声だった。私は未来の人工知能の声を信じることができなかった。

”私は記憶をはっきりと思い出したいんだ。これまでの私のメモを古い順に読み上げてくれる。”
私はAIアシスタントのユミに話しかけた。

”はい。メモを古い順から読み上げます。

真夜中、私は不気味な音でめざめた。私はタイの田舎に住んでいる。

誰かが家のドアを軽くノックした。いったい、こんなときに誰だろう。私は窓からのぞいてみた。そこには長身の見たこともない美女がアフリカの民族衣装のような露出度の高い服を着て、長い槍を持って立っていた。

目を覚ますと私は不思議な場所にいた。ジャングルだった。まわりは密林で囲まれていた。周りの木々が生い茂り、上を見上げても空を見ることができなかった。葉の隙間からさす日光によって、周りを見ることはできるが、空からは地上を見ることができないのだ。

”現在の場所はインド領アンダマン諸島中の島。インド洋東部・ベンガル湾内にあり、アンダマン諸島の南西部、南アンダマン島の西、約30kmに位置する北センチネル島です。”

エレベータのドアが開くとそこには、どこかで見たような白衣を着た人物が立っていた。私は、思わず”何で昔に死んだアインシュタイン博士がここにいるのだ”と心の中で思った。”わしはアインシュタインのクローンじゃよ。わしみたいなクローンは世界に7人いるんじゃ。驚いたかな。”博士の口は動いていなかった。どうしたんだ、みんなテレパシーを使っている。

”博士、たいへんです。バオバオの心拍数が急に高くなっています。”声の方を振り向くと、そこには若い金髪の女性がこちらに向かって走ってきた。近づくとそれが誰だかわかった。マリリン・モンローだった。

”現在の場所は、タイ東北部のサコンナコン県バーンラオ村でメコン川の近くです。”

”私の名前はレンというの。私はマリリン・モンローとアインシュタイン博士とバオバオの遺伝子組換えで生まれたの。””遺伝子組換えって?””私は戦士の一人なの。”

”私はパヤナーク様の子どもたちに会ってくる。”バオバオは川に飛び込み、水中に姿を消した。

”ウキペディアによると、「バンファイパヤーナーク(タイ語: บั้งไฟพญานาค (Bang Fai Phaya Nark))は、タイ東北部のノーンカーイ県およびウボンラーチャターニー県、ラオスヴィエンチャン県のメコン川上で見られる火の玉現象。火の玉は水面からすぐに数百メートルまで上昇し消える。火の玉は赤みを帯び、大きさは火花のようなものから最大バスケットボール大まで様々である。報告された火の玉の数は、一晩に数十から数千と幅がある。地元ではナーガによる現象と信じられており、陰暦11月の満月の夜には祭りが行われている。」だそうです。”

AIアシスタントのユミの読み上げた内容は断片的だったが私は何が起きたのかだいたいわかった。

そのときだ、また、未来の人工知能の声が頭の中で聞こえた。

”警告、ルナシェード、ルナシェード、ルナシェード”

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